シドニーのビル郡を抜け出し、世界遺産のブルーマウンテンを越えて西へ西へ車を走らせること約5時間。「DUBBO(ダボー)」という小さな町に出くわす。

小さいとは言えども、オーストラリアのアウトバックの中では主要な町であり、ここにシドニーの「Taronga Zoo」と並び有名な「Western Plains Zoo(WPZ)」がある。WPZでは5つの国からやってきた1000種類以上の動物が楽しめる。
動物園でありながら自然いっぱいの300ヘクタールもの広大な敷地を有し、アフリカをテーマにしてレイアウトがされているのには驚かされる。足を踏み入れるとわかるが、壁やコンクリートがない。代用してある柵やフェンスは低く、ありがちな「動物達がとじ込められている」感じがまったくないのだ。そのせいか、ゆったりと木の陰で休んでいるタイガーや水遊びをする象、見詰め合うキリンのカップルなど、自然の中で生きている動物に近い姿を垣間見ることができる。
ゆっくり歩いて一周しようと思うと丸1日では足りない。ゆっくりと自然を楽しみながら歩いて周る家族連れが多い中、自家用車やバス、電気カートや自転車などでも回ることができる。車で周れるトラックが約6KM、加えて徒歩で入れるブッシュトラックが15KMほどだ。とにかく大きい。それでも一般人が入れるエリアは敷地の3分の1しかない。動物園として動物を「見せる」役割だけではなく、ワイルドライフや動物の教育施設として、動物保護の研究機関、世界中の動物の繁殖などを一手に担っているため、見えない所で様々な活動が行われているのだ。
シドニーから離れて、果てしなく続く牧場を抜けたところにオーストラリアの動物研究を支える動物園が存在している。動物は檻越しに見るものと決め付けてしまわず、自然体の動物を、かつ安全な環境の中で見られる機会が増えれば、もっともっと人間は自然破壊について身近に考えられるのかもしれない。